今月13日にアメリカのFRB(連邦準備制度理事会)が今年3回目の利上げを行いました。
0.25%引き上げることで、政策金利は1.25%~1.50%になりました。
現在、アメリカでは雇用が大幅に改善し、経済も非常に好調です。
但し、物価上昇率が、FRBのインフレ目標の2%に達していないため、今後も利上げは緩やかなものになると考えられ、来年も3回程度の利上げになると予想されています。
政策金利の動向は、アメリカ経済に大きな影響を与えます。
金利が経済に与える影響
金利が低い時は、預金しても利子があまり付かないので、皆預金せずに使ってしまいます。
また低金利でお金が借りやすいので、借金して事業をするなど経済活動が活発になり景気が良くなります。
逆に金利が高いと皆預金に走りお金を使わなくなります。
また借金すると金利が高いので、お金が借りにくくなり設備投資などが減り景気が悪化します。
つまり、金利の上げ下げにより景気が良くなったり悪くなったりします。
金利が低い:好景気になる
金利が高い:景気が悪化する
となります。
これだとずーっと低金利で良いじゃないかと思いますが、そうもいきません。
低金利で景気が良い状態が長く続くと大きな問題が発生します。
なぜ金利を上げるのか
金利を上げる最も大きな理由はインフレを抑える事です。
経済が好調なのは良いことですが、景気が過熱すると物の値段がどんどんと上昇しバブルになってしまいます。
物の値段が急激に上がると、国民の生活に悪影響を及ぼします。
またバブルは負債の増加につながり、いつかは崩壊する事で不良債権となり、銀行の倒産などで国家経済の崩壊に至ってしまいます。
これらを防止し、物価上昇を抑えるために金利を上げることで、世に出回るお金を減らし景気を冷やすことで経済の崩壊を防ぎます。
政策金利とNYダウの関係
金利は景気の良し悪しに影響を及ぼします。
また株価は景気の良し悪しにより値動きが変わります。
よって、政策金利と株価には密接な関係が有ります。
政策金利とNYダウの関係について、過去のデータからその相関性を確認します。
1990年からのアメリカの政策金利(赤線:目盛は右側)、NYダウ価格(青線:目盛は左側)、インフレ率(年平均、緑線:目盛は右側)をグラフにしました。
政策金利の上昇とNYダウの上昇、政策金利の低下とNYダウの下落がほぼ一致しています。
景気が良くなると株価が上がり、インフレ防止のため政策金利も上がります。
景気が悪化すると株価は下がり、景気を改善するために政策金利は下がります。
政策金利は2000年頃と2007年頃が最も高く、NYダウもそれらの付近で一時的な高値になっています。
2000年頃はITバブルとその崩壊、2007年頃はサブプライム問題発生とリーマンショックによる経済崩壊が発生しました。
逆に言えば、政策金利が高くなると経済の悪化により株価が下がる可能性が高くなるとも言えます。
グラフを良く見ると、おおよそ政策金利が5%を超えるとヤバくなることが分かります。
NYダウ今後の動向
グラフより、2007年以降のゼロ金利政策により、NYダウが怒涛のように上昇しているのが確認できます。
金利がゼロで更に金融緩和によりお金が溢れている状況で、余ったお金が株投資に流れてきているのです。
この10年間の上昇は今までに無い急激なものです。
そしてここ2年でようやく金利が1.5%になりました。
来年は年3回の金利上昇の予定なので、まだ2.25%です。
危険水域の5%には程遠いので、株価下落はまだ先になりそうです。
しかし、現在2%程度のインフレ率が大きく上昇するようなことになると、金利の上昇は急激になる可能性もあります。
アメリカの金利が上がれば、ドルがアメリカに還流し、海外からの投資で景気が良い途上国や、負債を積み上げながら経済発展している中国などでも大きな影響が出る事が予想されます。
NYダウの今後には金利動向が大きな影響を持っています。
NYダウ投資をする場合は、インフレ率と金利動向には注意が必要でしょう。
「山高ければ谷深し」、現在NYダウはかなり急激に上がっているので、下落を始めれば大きいものになる可能性は高いです。