高金利で人気のトルコリラ円が、終値ベースで史上最安値を更新してきました。
29円の節目を完全に割って、28円台に突入しています。
スワップ狙いで購入されている方は苦しい所ですし、逆にこれからの人にはチャンスなのか、と考えられる局面でもあります。
これはチャンスなのか、それとも地獄への入り口なのか考えていきましょう。
トルコリラの現状と下落目途
まず米ドル/トルコリラの月足チャートを確認します。
ヒロセ通商から引用させて頂いています。
最近数か月でトルコリラ安が急速に進んでいます。
2017年1月の終値を抜いて上がって来ています。
次にトルコリラ円です。
こちらもヒロセ通商から引用させて頂いています。
こちらも2017年1月の終値を更に下回って来ています。
ここ数か月は32円台に載るなど、回復の兆しが見えていましたが、先月のアメリカとのビザ発給問題による関係悪化からの下落から、トルコリラ安が止まらない状況です。
日足チャートも確認してみます。
こちらもヒロセ通商から引用させて頂いています。
2017年4月に出来た窓(赤丸部分)をすっかり埋めてきました。
窓は必ず埋められるとの理論通りです。
数か月間は上がる兆しが有ったので、このまま上がるのではと期待していたのですが、こんなに早く埋めに来るとは思わなかったです。
逆に2017年10月に下向きの窓(青丸部分)が出現しています。
この窓は現時点で埋められていない(その後の戻しが中途半端なので)と考えています。
であれば、この窓を埋めにいつかは上がってくるのではないかと期待しています。
そうなると問題なのは当面の下がる目途ですが、様々な予想サイトを見渡しますと、27.5~29円の予想が多そうです。
最安値を更新しているので、予想のしようが無いですが、恐らく短期的にはこの程度の下落と考えて、買い下がるのが良いかと考えています。
10月の窓(青丸部分)は一度埋めに来るのではと期待しています。
トルコリラが下落している理由
トルコリラが現在下落している理由は幾つかありますのでまとめます。
1.アメリカとの関係悪化
トルコ当局が米総領事館に務めるトルコ職員を、昨夏のクーデターを主導した組織と関係があったとして逮捕しました。
これによりアメリカ、トルコがそれぞれビザの発給を停止する事態に発展し、トルコリラの下落につながっています。
この件については、在トルコ米大使館が11/7にビザ発給を一部再開しており、徐々に収束に向かうものと思われます。
2.インフレ率の上昇
トルコの消費者物価指数が高止まりしています。
2017年11月に公表されたトルコの10月消費者物価指数(CPI)は前年同月比11.9%と非常に高い値を示しています。
原因は、トルコリラ安による輸入品の価格上昇と、内需拡大による物価の上昇によるものです。
インフレ率が上昇すれば、中央銀行が利上げを行うはずですが、トルコ中銀は利上げを行っていません。
この原因は、エルドアン大統領が利上げに反対しているからです。
エルドアン大統領は、「高金利が高インフレを招く」と主張しておりますが、この考えは間違っています。
高金利にすれば、投資が抑制され、貯蓄にお金が回るため、需要の拡大が抑制され物価の下落につながります。
各国の中央銀行はその理屈に基づき金利政策を行っています。
しかしトルコでは、強権的なエルドアン大統領により、トルコ中銀の独立性が無くなっており、金利を上げられず、トルコリラ安に歯止めがかからない状況です。
3.対外債務の増加
トルコの対外債務残高は、主要な新興国と比較し高くなっています。
トルコの対外債務残高の負担はブラジルと並んで高く、対外債務返済負担が重いと言われています。
対外債務は外貨建てであるため、経常赤字が拡大し、外貨準備が大きく減るようですと、市場が対外債務の返済リスクの懸念を高め、通貨に下落圧力が掛かり易くなります。
トルコリラ円にたいする今後の対応
新興国通貨は長期的には高確率で下落していきます。
この辺りについては以前にブログで記事に致しました。
ですので、スワップ狙いでの長期保有は非常に分が悪いと考えています。
但し、現在はかなりの急ピッチで下落しているようなので、短期的なトレード戦略として少しづつ買い下がるのは良いかと思います。
その時の目安としては27円程度と考えており、それ以上の下落では損切りも必要と思っています。
エルドアン大統領も通貨安には不満を持っているとの事なので、どこかで対策は取られるのではと淡い期待をしています。
但し、何が起こるかわからないのが相場の世界ですので、くれぐれも全力買いなどは慎んでいきましょう。