ナンピン手法は無計画に行うと、大損する危険が非常に高い方法です。
しかし計画的に行うナンピンは非常に利益を上げられ易く、リスクも少なくなるため、お勧めの方法でもあります。
その具体的方法を最近下落し始めた、豪ドルスイスフラン「AUDCHF」の通貨ペアで、検討いたします。
AUDCHFの現状
AUDCHFでのナンピン戦略については、以前に軽くご紹介いたしました。
もう一度、AUDCHFの長期の月足グラフを確認します。
長期的に緩やかに下落(スイスフラン高)しています。
しかし、一方的な下落ではなく一定の周期で上下していることは確認できます。
そして、緩やかに下落している中でも、現在はかなり安値圏(豪ドル安・スイスフラン高)にあることが分かります。
特に2015年1月のスイスフランショック以降、低迷しています。
これは、オーストラリアの経済状況が改善しつつも十分ではない状況にあるためです。
以下は、オーストラリアの雇用者数の6か月平均・失業率・政策金利の推移をグラフ化したものです。
新規雇用者数6か月平均と政策金利が左軸の数値、失業率が右軸の数値です。
この1年強ほど最低の1.5%の金利状況が続いています。
最近は失業率は下がり、新規雇用者数平均は上昇し、経済は改善してきていますが、賃金が伸び悩み、低インフレ状況が続いているため、早期の金利引き上げは望めない状況です。
よって、豪ドル安はまだ続くと考えられます。
この様な状況でのナンピン戦略としては、
・AUDCHFは歴史的な安値圏にある
・しかし、オーストラリアの経済が芳しくないため当面は上昇しづらい
・今後も下落の可能性はある
・但し、安値圏にあるので下落は限定的ではないか
との考えに基づき戦略を練ります。
最低価格のラインを想定する
ここ最近のAUDCHFの値動きを、月足チャートで確認します。
月足チャートです。ヒロセ通商からの引用です。
最近の最安値はスイスフランショック後の2015年8月の0.66程度です。
2016年後半から25か月平均線を抜けて若干持ち直しています。
このまま25か月平均線を維持しつつ上昇局面に入るか注目です。
ナンピンする際の最低ラインの設定ですが、基本的には歴史的最安値の更に下。
AUDCHFですと2015年8月の0.66が最安値ですから、0.6程度がかなりの確率で下がらないラインと言えるでしょうか。
もし心配な場合は0.55とか考えても良いかと思いますが、今回は0.6で設定します。
次に最近の値動きを日足チャートで確認します。
2017年6月以降の日足チャートです。ヒロセ通商からの引用です。
3本サポートラインを引きました。
上から0.755、0.745、0.72です。
ここ最近のサポートラインであった0.755を完全に割ってきました。下落局面に入ったとの認識です。
0.745は少し近いので、0.72くらいのラインは注目しておきます。
具体的なナンピン計画
最近のチャート形状から下落局面に入ったと認識し、ナンピン戦略を練ります。
開始は0.75からで考えます。
購入の最下限は0.65、最安値の目標は0.6でシュミレーションします。
0.75から100pips下がる毎に1万通貨づつ買い増していきます。
0.65まで買い下がり、0.6まで下がった場合の含み損は125万円程度です(スイスフラン円113円で換算)。
11万通貨持つことになるので、証拠金は35~40万円くらいでしょうか。
ここで注意する必要があるのは、AUDCHFを円換算で証拠金や含み損を出すときには、スイスフラン円の値動きに影響されることです。
AUDCHFが下がる時はスイスフラン高になっているので、スイスフラン円も高くなっている場合があるため、その分証拠金も含み損も多くなってしまいます。
よって余裕をもって入金しておく必要があります。
この場合は200万円弱が必要でしょう。
買付平均は0.7です。
0.75まで戻した場合の利益は、約60万円程度になります。
もし0.65までしか下がらなかった場合の含み損は、60~70万円程度なので、バランスのとれた損益ではないでしょうか。
もっと利益を増やす方法
もし0.7を割って、0.6スイスフラン台に突入する場合、かなり下がっているのでバーゲンセールのチャンスと考えられます。
この場合は、底値を確認した後反転するタイミングで、5万通貨や10万通貨など、多めのポジションを持っていきます(もちろんもしもに備えてタイトに損切りを入れます)
そうすることで、かなり安い価格帯でポジションを取ることが出来ます。
もちろんリスクもあるので、損切りしても良い金額に合わせて、ポジション量を決めましょう。
最後に
証拠金として200万円を準備するのは難しい場合は、
・買い下がり間隔を200pipsや300pips毎など広めの間隔とする
・1万通貨ではなく1000通貨単位で買い下がる
など、自分の資金量に合わせて買い下がり間隔やポジション量を決めてください。
この手法で重要なのは、下落しても平常心でいられるポジション量で行う事です。
買いで入っているのに「もっと下がれ」と思うようになれれば成功に近付いています。
以上、ご参考にしてください。