新興国通貨である、南アフリカランド円やトルコリラ円でのナンピン戦略について検討を行ってきました。

新興国通貨はリスクも高く、基本的には長期的に下落する通貨ですので、長期のスワップ戦略などの長期投資は非常に難しく、あまりお勧めできる戦略ではありませんでした。

行うなら短期的なナンピン戦略が主であり、技術的にはかなり難しい手法になります。

そこで初心者にも行いやすく、長期で投資できる手法として、スワップポイントのサヤ取り戦略が良く紹介されています。

この方法は今でも通用するのでしょうか?

またどの程度の収益が見込めるのでしょうか?

検証してみます。

 



サヤ取りとは?

 

サヤ取りとは、株式などで良く利用される手法です。

同じセクターの同業種の銘柄(例えば、自動車ならトヨタと日産など)は日々同じような値動きをします。

しかし、時に一方が一時的に大きく下がったり、又は上がったりする場合があります。

その様な場合は、その値動きが一時的であると考え、また同じ値動きに戻る方向に、売りと買いを行い両建てする方法です。

例えばトヨタと日産でトヨタだけが一時的に下がった場合、

トヨタ⇒買い、日産⇒売り

の両建てを行い、値動きが元に戻ると買いと売りの損益合計で利益が出る時に決済します。

この方法はサヤ取りと呼ばれ、二つの銘柄の価格差(サヤ)を利益につなげる事からそう呼ばれています。

この手法の大きな利点は、何か大きな経済ショックが襲った場合でも、同じセクターの銘柄は同じ値動きをするため、大損しないという安心感があります。(一方を買って、もう一方を売っているため)

 

新興国通貨でのスワップポイントサヤ取り戦略とは?

 

さて、FXでのスワップサヤ取りとはどのような手法なのでしょうか?

例えば、南アフリカランド円を例にして説明します。

南アフリカランド円のスワップポイントはFX会社によって異なります。

買いのスワップポイントはどこの会社もプラススワップです。

売りのスワップポイントはどこの会社もマイナススワップです。

このことを利用し、買いのスワップポイントの高いFX会社で南アフリカランド円を買い、売りスワップポイントの低いFX会社で南アフリカランド円を売ります

売買する通貨量は同額にするので、通貨が上がろうが下がろうが、それぞれのFX会社で売りと買いを持っているので、為替差益・差損はありません。

長期的にもつことで、為替差損を気にせず、買いスワップポイントと売りスワップポイントの差額が利益として貯まって行く手法です。

 

南アフリカランド円での各社スワップ金利

 

本手法で問題なのは、買いと売りのスワップポイントを比較し、売りのスワップポイントより、高いスワップポイントが有るかどうかです

そこで各社の買い・売りのスワップポイントを比較します。

南アフリカランド円(ZAR/JPY)各社スワップポイント一覧(2017/11/27現在)

一万通貨あたりのスワップポイント(単位:円)として比較

FX会社 買いスワップ 売りスワップ 備考
IG証券 +11 -25
ヒロセ通商 +15 -65
マネースクウェア・ジャパン +6 -16
外為どっとコム +9 -19
DMMFX +10 -10 買い・売り同スワップ
GMOクリック証券 +9 -12 取引は10万通貨より

表より、一番売りスワップが少ないのが「DMMFX」となります。

また、買いスワップが一番高いのが「ヒロセ通商」になります。

その差額は一日プラス5円(一万通貨あたり)。

一万通貨あたり1か月で150円、年間1800円。10万通貨なら年間18000円

10万通貨をレバレッジ10倍で運用した場合、南アフリカランド円の価格を8円と仮定すると、証拠金は16万円必要です。(買い10万通貨、売り10万通貨、合計20万通貨分必要ですから)

年利にすると11.25%です。

(注意:スワップポイントは日々変化します。今回は1日のスワップポイントで比較していますので、損益計算は若干異なってきます)

かなり年利は高く感じますが、10万通貨の場合、1円動くと10万円の損失が出ますから、もう少し証拠金を積み増すか、絶えず監視して、勝っている方から負けている方の口座へ、資金を移動する必要があります。

それを考えるともう少し、資金を用意すると、年利は下がってしまいます。

また1年間で10万通貨あたり、18000円と少ないので、かなりのローリターンになります。

まあ、銀行預金よりはかなりましですが。

 

トルコリラ円での各社スワップ金利

 

トルコリラ円(TRY/JPY)各社スワップポイント一覧(2017/11/27現在)

一万通貨あたりのスワップポイント(単位:円)として比較

FX会社 買いスワップ 売りスワップ 備考
IG証券 +85 -119
ヒロセ通商 +80 -171
マネースクウェア・ジャパン +61 -87
外為どっとコム +85 -100
DMMFX 取扱い無し
GMOクリック証券 +80 -90

売りのスワップポイントが少なかった、「DMMFX」の取り扱いが無いため、トルコリラ円ではこの戦略は不可能です

 

最後に

 

トルコリラ円は取扱いFX業者が少なく、スワップポイントのサヤ取り手法は不可能でした。

しかし、南アフリカランド円では何とか可能そうでした。

但し、以下の点には注意が必要です。

・スワップポイントは日々変化するため、常にチェックが必要

・両建てとは言え、かなりのポジションを持つので、為替の動きと、ポジションの損益は監視が必要

・証拠金もかなりの額が必要

・ローリスク・ローリターン投資である

・新興国通貨は過去に突然大きく下落することが有り、その場合スプレッドが非常に大きく開くため、買いのポジションのみ切られて、売りだけ残る危険もある

新興国通貨には多くのリスクが有ります。

もし行う場合は、以上の注意点を勘案して計画を練ってください。