前回、トヨタ自動車株を例に、過去にFXと日経225先物で機能していた売買ルールでトレードを行った際の結果をご紹介いたしました。

FXと225先物で好成績だったシストレロジックを株に適用してみた

その結果、ここ10年程度は機能していることが確認できました。

しかし、このシステム単体ではトレードを行う事は難しいとの結論に至りました。

では実際にトレードできるようにするには、どうすれば良いのでしょうか?

今回は、単体では実トレードが難しいシステムでもポートフォリオ運用することで、実運用にも耐えるシステムを作ることが出来る例をご紹介したいと思います。

 



同じロジックで複数のシステムを用意する

 

前回と同じロジックを使って、このロジックで機能する株式の銘柄を調査しました。

東証一部上場の比較的出来高の多い約200銘柄を検証し、ここ10年で機能している銘柄を10システム選びました。

再度ロジックを確認します。

・売買ルール:二日間上昇すれば売り、二日間下落すれば買い

・売買タイミング:朝の寄り付きで買い又は売り、夕方の引けで決済

・損切りなし

非常に単純なルールです。

最適化の心配も全く有りません。

選んだ10銘柄の損益曲線は下記の通りです。

(申し訳ありませんが、銘柄は伏せています)

全ての銘柄で、そこそこ綺麗な右肩上がりになっています。

但し、システム単体ではトレードはどうかな?と言うものも交じっています。

これらのシステムを元にポートフォリオを組んで行きます。

 

ポートフォリオ運用の際の注意点

 

複数のシステムを組み合わせてポートフォリオを組む際には、気を付けるべき点があります。

それは、それぞれのシステムの損益の大きさを統一することです。

損益を統一する方法は二通りです。

1.それぞれのシステムの平均損失を元に枚数を合わせて統一する方法

例)平均損失が、システム1:-100円、システム2:-200円、システム3:-400円の時

システム1は4枚、システム2は2枚、システム3は1枚でトレードします。

2.それぞれのシステムの価格を元に枚数を合わせて統一する方法

例)価格が、システム1:100円、システム2:1500円、システム3:3000円の時

システム1は30枚、システム2は2枚、システム3は1枚でトレードします。

何年も価格が変わらず、損益も変化が少ない場合は1で、価格変動が大きい場合は2で枚数調整するのが良いと思います。

株では価格が大きく変わるので、2の方法で枚数調整をしました。

 

ポートフォリオ作成結果

 

10のシステムを組み合わせた際の損益曲線をグラフにしました。

システムを選択する際には、最近10年分で検証しましたが、ポートフォリオを組む際には、2000年からの17年分で検証しました。

2006年以前が微妙なことになりました。

しかし、2006年以降はかなり綺麗な右肩上がりのグラフになっています。

勝率や各年の損益は下表のとおりです。

勝率は53%強、シャープレシオは0.06程度とまずまずです。

これは2000年以降の数値なので2007年以降だともっと良いはずです。

年間損益も2005年以降は負けは2011年しか有りません。

2017年の月別の損益も見てみます。

このポートフォリオシステムは2017年4月に作成したものですが、5月以降は負けなしです。

単純なシステムですが、作成後も安定して勝ち続けています。

 

最後に

 

今回は10銘柄で構成しましたが、もっと多くの機能している銘柄を組み合わせることで、更に安定したシステムが作成できるでしょう。

但し、何百銘柄も検証するのは大変ですので、自動化できれば楽なのですが・・・。

プログラムなど得意な方はシステムを作ってみられると良いかと思います。

本当に株式は銘柄数が多くて大変です。

専用のソフトウェアが欲しいですね。

それと株式ではレバレッジがあまり掛けられないのも問題です。

銘柄数が多くなればかなりの資金が必要になります。

今回の10銘柄でも、信用取引を利用しても最大で300万円程度必要です。

資金が少ない場合は、値嵩株を外してシステムを組む必要がありそうです。

以上、ご参考にしてください。