「システムトレードって結局儲かるの?」って聞かれたら、「うーん、儲かる場合もあるけど、儲からないことも多いよね」って答えてしまいます。
システムトレードで儲けている方も多く知っていますが、常に儲かっている訳でもありません。
現在の相場に合ったシステムを動かしている時はかなり儲かるんですが、合わなくなると途端に損失が膨らんでしまいます。
一つのシステムで全ての相場に対応することはそもそも不可能です。
そこで、出来る限り多くのシステムを作成し、組み合わせてどんな相場でも乗り切れるように工夫しましょう。
そんなシステム作りのポイントをまとめてみました。
銘柄選定は重要
まず初めにしなければならないことは、どの市場・銘柄を対象にトレードシステムを作成するのか決める事です。
銘柄によって、市場規模・取引時間・取引ルール・レバレッジの上限・取引システムの使い易さ、など様々異なってきます。
また銘柄毎に市場参加者やルールが異なるので、銘柄のクセも変わってきます。
その銘柄のクセに合わせてシステムのルールを構築しますので、クセの出やすい銘柄を選ぶと利益が出しやすくなります。この点からも銘柄選びは重要ですね。
各銘柄の特徴を比較します。
FX
近年人気の投資対象です。ほぼ24時間取引で、忙しくて時間の取れないサラリーマンでも、取引が活発なNY時間の夜にトレードできるので、トレードする人が増えてきています。
レバレッジも25倍まで可能なため資金効率は非常に良く、また取引ルールもIFD-OCO注文から時間指定注文まで、どのようなトレードスタイルにも対応できるようになっています。
しかし取引所が無く、毎日莫大な量の取引が世界中で行われ、主要な取引も東京・ロンドン・ニューヨークと別れており参加者も異なるので、銘柄特有のクセが出にくくシステム化が非常に難しい銘柄でもあります。
システムトレードを行うには難易度は高いでしょう。
また金融庁がFXのレバレッジを10倍にまで下げる規制を進める報道もされているので、今後はトレードがやり難くなる可能性があります。
そしてFXは基本的に相対取引なので、FX会社によって価格やスプレッドが異なります。
バックテストする際には、スプレッドやどこの取引会社のデータなのか十分に考慮する必要があります。
株式
株は取引所で取引が行われ、取引時間が日中のみと限定されています。このため、日中忙しいサラリーマンには取り組みにくい印象があります。
また銘柄数が非常に多いので、システムの検証や銘柄選定が非常に大変です。
そして、信用取引を使ってもレバレッジが3倍ちょっとしか掛けられないので資金効率が悪いというデメリットもあります。
しかし、日中寄引けのシステムトレードなら、会社に行く前に寄付き注文を行い、後は利食い損切り注文、引け注文を入れることが出来れば、ほぼ自動で取引することもできます。
また株は取引所での売買になるので、どこの証券会社を利用しても価格は全く同じです。
特に寄付きと引けではスプレッドも発生せずに、売り買い同じ値段で約定できます。
手数料のみ考慮すればよいので、バックテスト通りの成績が実取引でも実現できます。
そして取引が取引所に限定されるので、銘柄毎のクセが出やすく、システム化しやすいメリットがあります。
先物
株価指数先物(日経225先物、TOPIXなど)と商品先物が有ります。
取引所取引なので、価格は証券会社が異なっても全く同じで、バックテスト通りの実取引を実現できます。
また手数料も安く、株と比較して高いレバレッジ(20~50倍)も掛けられ、銘柄毎のクセも出やすく、システムトレードを行うには最適と言えるでしょう。
特に日経225先物は出来高も多く、価格も滑りにくいのでトレードするには最適です。
商品先物は、以前はシステムトレードに向いていましたが、近年は多くの銘柄で出来高が激減しているので、トレード自体が難しくなってきています。
商品先物でまともにトレードできるのは、今では金、ガソリン、原油くらいでしょうか。現在はお勧めできません。
トレードロジックの選定
トレードロジックを選ぶには様々な方法があります。
テクニカル分析を用いる方法
移動平均線やMACDなどのテクニカル手法を使って、優位性のあるトレードルールを作る方法です。
しかし複数のテクニカルを利用してシステムを構築したり、パラメータの過剰最適化などによりカーブフィッティング(過去のデータでしか利益を出せない)に陥る恐れがあるので、システム作成の際は十分に注意しましょう。
パターン分析を用いる方法
この方法は最適化され難く、その銘柄のクセを引き出すことが出来るお勧めのやり方です。
例えば、二日上がれば次の日は下がる確率が高い、日中は下がることが多い、二日高値を更新すれば次の日上がりやすい、などその銘柄の陽線陰線のパターンを調べることにより、クセを見つける方法です。
EXCELを使ったバックテストも簡単で、プログラミングも不要、再現性も高い方法です。
他銘柄との相関を利用する方法
日経225先物なら、NYダウとの相関性からクセを見つけたり、TOPIXとの相関性からトレードルールを見つけたりと、影響を与えているであろう銘柄との関係性からシステムを構築する方法です。
この方法も比較的再現性の高いトレードルールを見つけやすい傾向にあります。
バックテストはEXCELが簡単
銘柄とトレードロジックが決まれば、いよいよバックテストを行ってロジックの有効性を検証します。
検証する方法ですが、単純なルールのパターン分析では、EXCELを使った検証が費用も安く、労力も少なくて済みます。
日経225先物や株式の日足ならデータをダウンロード出来るサイトも数多くあります。
また、単純なルールのトレードシステムですと、ドローダウン時の理由も直ぐにわかり、多くのシステムを集めてポートフォリオを組むのも簡単です。
このブログでも幾つかトレードルールを紹介していますのでご参考にしてください。
FXシストレのルールを225先物に適用すると良好な結果だった
複雑なトレードルールやテクニカル分析を用いたバックテストでは、それなりの専用ツールやプログラミングの知識が必要になるでしょう。
FXならMT4、株なら販売されている専用ツールなどです。
高額な費用や高度なプログラミング技術が必要になるので、初心者には難しいでしょう。
この様なツールを使う際には、事前に効果(導入した際にどの程度利益が出せるか)を確認したうえで導入しましょう。高いお金を出したのに全く儲からなかった、では残念すぎます。
システムトレードの実運用は忍耐が大事
システムを構築し、バックテスト結果から良好な右肩上がりの損益曲線を眺めると、すぐにでもどんどん儲かるような気がします。
しかし、実際運用してみると、負けることも多く(実際トレードの半分くらいは負けます)、意思に反して売り買いを行わなければならないことも多いので、かなりのストレスになります。
システムトレードは長期に渡って、確率的に優位性のある方法でトレードを行うもので、短期間では大きくドローダウン(一時的な損失)することもあります。
特に始めた途端に、過去の最大ドローダウンを更新するなど普通にあります。
この試練を乗り越えてトレードを続ける事は、非常に忍耐を必要とします。
この試練を少しでも負担を少なく行う方法としては、最初はポジションを小さくする事が有効です。
忘れてはいけませんが、持っていることが気にならなくなる程度のポジションから初めて、儲かる毎に少しづつポジションを上げていければ、複利効果もありストレスが少なくトレードが続けられます。
またこの方法ですと、少額の証拠金から始められるので、始めやすいメリットもあります。
いきなりやる気満々で、大きなポジションで始めると、連続の負けに耐えられず止めてしまうことになります。止めた途端に儲かり始めるのは良くあることです。
こうならない為にも、最初は少なめのポジションでトレードを始めましょう。
最後に
システムトレードはシステムに従ってトレードするので楽だよねー、と思いがちですが、やってみると意外に大変です。
毎日、システムのサインを確認して注文を入れて、終わればデータを更新する作業が非常に面倒です。
多くの方が取り組んでは挫折していきます。
しかし、長期的に優位性のある手法ですと、一時的に損失が出ることがあっても、長期的には儲かる可能性が高い手法ですので、是非取り組んで頂ければ良いと思います。
もし自作が難しいのであれば、有りものを購入する方法もあります。
これはこれで難しい面もあります。
詐欺まがいの物も多いですからね。
システムトレードを是非ご検討ください。