トレードシステムを作成する場合に、そのシステムの優劣を判断する材料として、下記の数値を主に用います。

・勝率

・PR(ペイオフレシオ、損益率)

・PF(プロフィットファクター)

・シャープレシオ

・最大ドローダウン

これらの数値は、検証を行い右肩上がりのシステムを作成できたとして、作成したシステムを出来る限りストレス無く継続して運用し、利益を上げ続けられるかどうかを確認するための指標となります。

それぞれの数値について説明を致します。

 

1.勝率

 

勝ちトレード数 ÷ 負けトレード数 × 100 (%)

で計算できます。

勝率が高いほど、ストレス無く継続してトレードが出来ます。しかし、単純なルールで優位性のあるシステムでは、勝率はせいぜい50~56%程度になります。

多くの方は出来る限り高い勝率を求めますが、勝率の高いシステムは、最適化している再現性のないものか、損大利小のこつこつどかん型です。

ネット上で販売されているシステムで、あまり勝率が高いのに(60%以上の高勝率!)利益が上がっているシステムは、逆に詐欺ではないかと疑っても良いと思います。

勝率54%程度でも利益を上げることは出来ます。

 

2.PR(ペイオフレシオ、損益率)

 

勝ちトレード平均利益額 ÷ 負けトレード平均損失額

で計算できます。

PRが1の時は、勝った時の平均額と、負けた時の平均額が同じになります。

よく損小利大と言われますが、PR>1、の時が損小利大になります。

継続的に利益を上げていくには、勝率とPRの関係が重要になります。

勝率とPRの関係で将来の破産確率を示したものが「バルサラの破産確率」と言われています。

計算式は複雑でよくわからないので記載しませんが、表にしたものが下記となります。

表では、資金100万円で、負ける時の最大損失を3%として破産確率を計算しています。

一般的に、単純なルールでシステムを作成した場合の勝率は54%程度で、PRは1.2前後程度になると思いますので、この表では破産確率は、ぎりぎり0%近くになりそうです。

この辺りのシステム作成を狙うべきでしょう。

 

3.PF(プロフィットファクター)

 

勝ちトレードの利益総額 ÷ 負けトレードの利益総額

で計算できます。

PFが1以上の場合に利益が出るシステムとなります。

勝率とPR(ペイオフレシオ)を個々に見ても勝てるシステムかどうかわかりません。

最終的にはPF(プロフィットファクター)を確認し、1以上になっているかを確認する必要があります。

もちろん損益曲線が右肩上がりになっていることが重要です。

 

4.シャープレシオ

 

平均損益 ÷ 損益の標準偏差

で求めることが出来ます。

EXCELで計算式を入力する際は、

=AVERAGE(E:E)/STDEV(E:E)

(E列に日々の損益が記載されている場合)

となります。

では、シャープレシオとは一体何なのでしょうか?

標準偏差で割ったもの、と言われてもピンと来ません。

噛み砕いて言いますと、「損益曲線が綺麗に右肩上がりになっているかどうか」を数値化したものです。

大きなドローダウンが少なく、右肩上がりになっているシステムほど、シャープレシオは高くなります。

概念図は下記の通りです。

このグラフでは、ドローダウンは小さく、きれいに右肩上がりになっています。

シャープレシオは2.1程度です。

次にこのグラフでは、利益は先ほどのグラフより大きいですが、ドローダウンが大きく、お世辞にも綺麗に右肩上がりだとは言い難いです。

このグラフのシャープレシオは1.47程度です。

シャープレシオが高いシステム程、ドローダウンが小さく、精神的にトレードが続けられ易いです。

実際に単純なルールで作成した、再現性が比較的高いシステムの場合のシャープレシオの目安は、

0.1以下 :続けてトレードを行うのは精神的に大変

0.1~0.15 :トレードシステムとしては合格点

0.15~0.2 :非常に優れたシステム(恐らく、単純なルールのシステム単独では不可能)

0.2以上 :神の領域

単独で0.2を超えるシステムは、最適化されている可能性が高く、再現性が乏しい可能性が十分にあります。

単純なシステムでも、複数のシステムでポートフォリオを組めば、0.15に近づけることは出来ます。

 

5.最大ドローダウン

 

最大ドローダウンは、一定の検証期間の中で、最も深い損失(山の頂上から、谷底までの距離)のことを言います。

資金管理の観点からは、証拠金 + 最大ドローダウンの2倍 の資金を用意する必要があるでしょう。

検証期間の最大ドローダウンは必ず更新されます(経験者は語る!)。

そして最大ドローダウンの2倍は必ずやってきます(これも経験者は語る!)。

システムをスタートする際には、最大ドローダウンの2倍の損失でも、精神的に耐えられるか考えて、覚悟を決めてトレードを始める必要があります。

 

システムを作成、もしくはどこからか購入した場合は確認してみてください。

そのシステムを継続して運用していけるかどうかを客観的に判断することが出来ます。