日本経済は失われた10年、そして失われた20年、などと言われています。

失われた20年はいつから始まり、そして我々日本人は何を失ったのでしょうか?

 

失われた20年の始まり

 

日本経済は1986年から1991年に掛けて、「バブル」と呼ばれる好景気を生み出しました。この原因はプラザ合意後の円高不況を乗り切るための、日銀による金融緩和と政府による財政政策であり、株式・土地などの投機を許す大型好景気につながりました

しかしその後、土地や金融の過熱を防ぐための引き締め政策を行ったためにバブルは崩壊しました。特に急激に引き締め政策を行ったために、一気に不況に陥り経済がデフレ化し、そのまま失われた20年への始まりとなりました。

始まりはバブル崩壊後のおおよそ1990年頃となります。

この頃から景気は悪くなり、日本のGDPは伸び悩むようになりました。

ちなみに今回お話しする中の「GDP」は名目値としています。不況でデフレ経済では実質値より、名目値の方が国民が体感する景気感と一致するからです。

しかし、始まりが1990年頃だとすると、今は2017年なので、もうすぐ失われた30年も間近ではないですかね

 

日本人は失われた20年で何を失ったのか?

 

経済紙やテレビなどでも「失われた!」とよく言われておりますが、結局我々は何を失ったのでしょうか?

下のグラフをご覧ください。

1990年からの、実際の名目GDP(青線)と、日本も他の先進国と同じ程度のGDP成長率である、3%の伸び率だった場合の仮想的なGDP(赤線)の比較です。

ちなみにこの時期の、アメリカの平均的なGDPの伸び率は4.5%でした。アメリカ並みだともっと赤線は上がっていることになります。

青線では、年平均1%程度の伸び率で、現在500兆円ちょっとですが、赤線だとなんと1000兆円弱もあります。

つまり2倍弱程度GDPが違う訳です。

このGDPの差額分が日本が失ったものです

GDPの三面等価の原則から考えると、日本の生産・分配・支出のすべてで影響があり、わかりやすい例では、分配面から見ると、我々日本人の所得が3%成長なら単純に今の2倍あると考えられます(実際は物価上昇率なども加味しなくてはいけませんが)。

つまり収入を失っているわけです。半分もです

また国の税収も基本的には、GDP掛ける税率なので、日本の税収も3%の成長があれば、今の2倍はあることになります。そのくらいあれば、財政難などとは言われていないはずです。

確かに、この20年程度、大卒の初任給などはほとんど上がっていませんね。もう慣れてしまい当たり前のように思いますが、実際には異常なことなのかもしれません。

アベノミクスでデフレは多少ましにはなっているとは言え、十分にデフレは脱していないようですので、経済対策には注力して頂きたいです。

道理で株価も上がらない訳です。