年賀状を書くときには、次の年の干支の動物を挿絵に描くなど、干支の動物って私達には馴染みが深いです。

ねずみ、うし、トラ、うさぎ・・・、可愛らしい絵を描くと年賀状も見映えがよくなりますよね。

ところで干支ってなぜ動物なのでしょうか?

非常に気になるので、干支の始まりや成り立ちなど起源を調べてみましたのでご紹介いたします。

並んだ十二支
 

 

 



干支の始まりや成り立ちなど起源を解説!

干支はそもそも時間や暦、方角など表す記号であり、太陰太陽暦に使用され起源は古代の中国です。

干支の歴史は大変古く、紀元前16世紀(今が21世紀なので3600年前!)に出来た殷(イン)の時代に日付けを示すために使われたのが始まりです。

中国の戦国時代(紀元前403~221年)以降には、日付けだけでなく年月時刻や方角を表すためにも使われだしました。

(引用元:設楽博己著 十二支になった動物たちの考古学 新泉社)

 

この殷の時代に出来たのが十干(じゅっかん)と十二支(じゅうにし)で、合わせて干支(えと)と呼びます。

 

十干は、甲(こう・きのえ)、乙(おつ・きのと)、丙(へい・ひのえ)、丁(てい・ひのと)、戊(ぼ・つちのえ)、己(き・つちのと)、庚(こう・かのえ)、辛(しん・かのと)、壬(じん・みずのえ)、癸(き・みずのと)の十種類です。

 

そして十二支が、子(ね・し)、丑(うし・ちゅう)、寅(とら・いん)、卯(う・ぼう)、辰(たつ・しん)、巳(み・し)、午(うま・ご)、未(ひつじ・び)、申(さる・しん)、酉(とり・ゆう)、戌(いぬ・じゅつ)、亥(い・がい)の十二種類です。

 

この十干と十二支を組み合わせると60干支が完成し、年月日のすべてが表せます。

 

干支で数えると60年で暦がちょうど一巡し、人間は60歳の還暦を迎えるのですがうまく出来てますね。

 



干支が動物なのはなぜ?

では干支(正確には十二支ですが)はなぜ動物なのでしょうか?

殷の時代に十二支が作られたときには、十二支はまだ単なる記号でした。

動物を表す意味は全くありません。

 

十二支に動物が当てはめられたのは、殷の時代よりはるかに時間が経った紀元前200年ごろの秦(しん)の時代になります。

それまで十二支は貴族や学者など身分の高い人々によって、暦や天文学などに利用されてきました。

 

しかし、徐々に一般の庶民も暦を利用するようになったのですが、干支は単なる記号ですから覚えにくいったらありゃしない。

そこで庶民にも覚えやすいように、各文字に適した動物を当てることで誰にでも覚えられるようにしたのです。

 

そうすると非常に覚えやすくなり、一般の庶民も暦や時間・方角を表す用途で利用し普及するようになりました。

(引用元:設楽博己著 十二支になった動物たちの考古学 新泉社)



十二支の各文字の動物はどうやって決まったのか?

では単なる記号だった十二支にどうやって動物を当てはめたのでしょうか?

実は十二支に動物を当てはめた時期が、紀元前200年ごろの秦(しん)の時代ととてつもなく古いため実際にはよくわかっていないのです。

それでも一部の動物については「このような由来ではないか」と推測できるものがあります。

以下では推測可能な動物について解説していきます。

 

子(ね・し)

「子(ね)」はもともと子供の「子」から来ていて、増えるという意味が有りました。

そこで動物の中で最も子を生み育てるネズミを「子」の字にあてはめたと言われています。

また十二支の「子」の字は元々「孕む」という字であったとの説明もあります。

そのため「子」の字にはネズミが当てはめられたとも言われています。

   

丑(うし・ちゅう)

丑の字の字音が、牛の字の字音に大変近かったので、牛をあてはめたと言われています。

現在の北京語でも丑も牛も「niu」と発音するそうです。

これは非常に単純で分かりやすい説ですね。

 

寅(とら・いん)

寅の文字には元々「慎み」「戒め」「油断しない」と言う意味がありました。

そこで人間が最も警戒している猛獣である動物の「虎」を当てはめました。

油断大敵火の用心ですね!

   

卯(う・ぼう)

古代、動物のウサギは「ウ」と呼ばれていたようです。

古事記にもある因幡の白兎(いなばのしろうさぎ)は「シロキウ」と呼ぶのが良いらしいです。

つまり丑と同じ様に発音が似ている動物を当てたのでしょう。

このパターン多いですね。

 

巳(み・し)

巳(み)はヘビですが、なぜヘビなのか?

何と平安朝の頃まではヘビを「ヘミ」と言っていました。

その「ヘミ」を略して「ミ」として、発音の似ている巳の字に当てました。

しかしなぜ上の「へ」と略さなかったのか言うと「屁」と間違うからだと言われています。

蛇を見つけて「屁が出た!」と言ったら恥ずかしいですよね。

なので「ミ」と呼ばれていたヘビを「巳(み)」の文字に当てたのです。

 

午(うま・ご)未(ひつじ・び)申(さる・しん)酉(とり・ゆう)戌(いぬ・じゅつ)

これらの文字は、発音の似た動物がいたのでそれを当てはめた説が有力です。

ただし、本当のところは全くわかっていません。

 

亥(い・がい)

亥の文字は、そもそも「いのしし(猪)」をかたどった文字です。

よって猪を当てるのは当然だったようですね。

 

以上、信頼できる書籍を参考にして解説いたしました。

(参考書籍:設楽博己著 十二支になった動物たちの考古学 新泉社)

(参考書籍:稲田義行著 十二支読本 創元社)

  

しかし、干支が生まれたのは大変昔の話ですので諸説あるのは確かです。

今回書きました解説は一つの意見として参考にして頂ければ有り難いです。

 

この記事がご参考になれば幸いです。