映画「三度目の殺人」は、2017年に公開された是枝裕和監督オリジナル脚本による作品です。

殺人事件をめぐる法廷サスペンスですが、結局最後になっても真相が明らかにされず、見終わったあとも非常にモヤモヤする映画です。

本当の犯人は結局誰なのか?誰が真犯人なのか?三度目の殺人の題名の意味は何なのか?など非常にわかりにくくなっています。

今回は、映画「三度目の殺人」について、これらモヤモヤする結末をわかりやすく解説します。

 

 



映画「三度目の殺人」の本当の犯人は結局誰?

そもそもこの映画では真犯人をわざとわからないようにしています。

是枝裕和監督自身が、真実はわからずに釈然としない感じを、映画を見た人に共有してもらいたいとして作った映画だからです。

真実はわからないんです。それでも次の裁判に向かわなければいけない。

その宙吊り感というか、釈然としない感じを、映画を観た人に共有してもらうというのが、この作品の着地点だと思っていました。

(引用元:HUFFPOST https://www.huffingtonpost.jp/2017/09/11/hirokazu-koreeda_a_23205211/)

 

この映画の着想は、是枝裕和監督がある弁護士さんと会った際に、法廷は真実を究明する場所ではなく利害調整をする場所だと言われたことに始まります。

「弁護士からすると、法廷は真実が究明される場所ではないんです」と言うんです。じゃあ何をする場所なのかと聞くと、「利害調整ですよね」と答えた。

(引用元:HUFFPOST https://www.huffingtonpost.jp/2017/09/11/hirokazu-koreeda_a_23205211/)

 

これは、映画「三度目の殺人」の主人公の重盛朋章(福山雅治)がまさにその通りの言動(真実はどうでもよく、減刑できれば良い)を弁護士として表現しています。

 

映画を見ても真犯人がわからなかったのは正解です。しかし、そう言われてもモヤモヤ感が残るのは耐えられないところです。

次からは事実を交えて真犯人を当ブログで推測します

 



やはり三隅高司(役所広司)が犯人で良いのでは?

十中八九、犯人は三隅高司(役所広司)で問題ないでしょう。

物語での事実を箇条書きにします。

  • 三隅高司(役所広司)は昭和61年に、借金取り2人を殺して建物に放火している
  • 殺された借金取りには多くの人が苦しめられており、その憎しみを三隅高司(役所広司)が汲み取って殺人に及んだ
  • 一度目の殺人で三隅高司(役所広司)を逮捕した元警官は三隅高司(役所広司)のことを「からっぽの器」のようと言っており、他人の心を受け入れやすい人物と考えられる 
  • 30年の服役のあと、殺害された社長の工場で働くが、工場での食品偽装を知っていたのでその後解雇される
  • 工場の社長の娘の山中咲江(広瀬すず)と知り合い、父(社長)から山中咲江(広瀬すず)が暴行を受けていることを知る
  • 山中咲江(広瀬すず)は父のことを「殺されて当然」「(食品偽装について)汚い仕事」と言っているので、その憎しみを三隅高司(役所広司)が受けとっている
  • 犯行前に三隅高司(役所広司)が飼っているカナリアを殺し(一匹だけ逃した)埋葬している(もう帰ってこないと覚悟している)。
  • 手には火傷の痕、社長から奪った財布を持っていた

 

以上からわかることは、三隅高司(役所広司)はからっぽの器で、相手の気持ちを汲み取り行動に及ぶタイプであり、山中咲江(広瀬すず)の気持ちを汲んで犯行に及んだと考えるのが現実的です。

また、犯行後に供述がコロコロと変わるのも、三隅高司(役所広司)自身がからっぽの器であるので、対する相手の気持ち・感情によって発言を変えるからでしょう。

 

↓重盛朋章(福山雅治)はコロコロと証言を変える三隅高司(役所広司)に翻弄される。

 



山中咲江(広瀬すず)の犯行の可能性は低い

山中咲江(広瀬すず)の犯行を匂わすシーンもありますが、犯行の可能性は低いです。

 

山中咲江(広瀬すず)が父を憎んでいたことは事実なので、犯行に及んだ可能性も考えられます。

しかし山中咲江(広瀬すず)の事件当日の行動について相棒の弁護士の川島輝(満島真之介)が、「学校から帰宅してからは外出していないようです」と話しています。

また山中咲江(広瀬すず)は足も悪いので、父親を殴るということはかなり難しいと思います。

 

やはり、山中咲江(広瀬すず)の憎しみを三隅高司(役所広司)が汲み取って犯行に及んだ可能性が非常に高いです。

 



三度目の殺人の題名の意味は?

三隅高司(役所広司)が三回も殺人を行ったのか疑問に感じますが、実際に数えてみましょう。

  1. 昭和61年に借金取り2人を殺害したこと
  2. 工場に雇ってもらった会社社長を殺害したこと
  3. 法廷で自分は無実だといきなり訴えて、情状酌量の余地を無くして自分自身を死刑にしたこと

 

三度目の殺人の相手は三隅高司(役所広司)自分自身になります。

しかし、なぜ三隅高司(役所広司)は自分自身を殺そうと思ったのでしょうか?

 

物語の中では、山中咲江(広瀬すず)が自分のために三隅高司(役所広司)が父を殺害したのだと感じ、父から受けた暴行について法廷で証言しようとします。

しかし、山中咲江(広瀬すず)に辛い証言をさせたくない三隅高司(役所広司)が、山中咲江(広瀬すず)をかばうために否認したのではないと思います。

三隅高司(役所広司)は、昭和61年に犯した罪によって、三隅高司(役所広司)の家族が不幸になっており、その家族の自分への憎しみを汲み取って、自ら極刑を選択したのでしょう。

 

物語の最後に重盛朋章(福山雅治)が、山中咲江(広瀬すず)に辛い証言をさせないですむように、三隅高司(役所広司)が否認したのでしょうと聞きました。

しかし、三隅高司(役所広司)はいい話だけれどそれは違うと言いきっています。

その時、重盛朋章(福山雅治)は三隅高司(役所広司)がただの器だと気づきました。

三隅高司(役所広司)が多くの人を傷つけてきた自分自身を、傷ついた人に代わって裁いたのでしょう。

 

↓最後に重盛朋章(福山雅治)は三隅高司(役所広司)の心と真実を探ろうとする。

 

 

今回は、是枝裕和監督の映画「三度目の殺人」について、真犯人と題名の意味を考察しました。

1回見ただけでは理解が難しく非常にモヤモヤする映画でしたね。

しかし、是枝裕和監督は観客にモヤモヤさせるために作ったとのことなので、自分自身で色々と考察するのがこの映画の楽しみでしょう。

 

再度見たい、または見逃した場合はU-NEXTで配信されています(2019年10月22日現在)。

31日間の無料視聴も可能です。

 

この記事がお役に立ちましたら幸いです。